The Long Goodbye

 The first time I laid eyes on Andue he was drunk in a Rolls-Royce Silver Wraith outside the terrace of The Dancers.

 なんてことはもちろん無く、僕がアンデューに初めて出会ったとき、彼は富士見高原でパラグライダーの練習をしていた。最初は特に親しいわけでも無かったし、思い出してみるとその後しばらくも別に親しいわけでは無かったように思う。覚えているのは、思い切り頭が切れそうな顔しつつそのおでこに「日本一」と書いた団扇を鉢巻きで固定していた謎の姿だった。親しくなたったのは、彼がアメリカに行った後だった。こっちに馴染めなかった共感だろうか。たまにはそんな人がいるのだ。社会にあまり適合できているとは思えない僕と、何故か友達付き合いしてくれる人が。彼は何故かその1人だった。
 20年以上前、彼の車でカリフォルニア州サンディエゴからメキシコのTijuanaに行った。20世紀最後の年だった。彼は「室内でビールを飲みながらタバコを吸いたい」という夢を叶えるために。僕はなんとなく長いお別れごっこのために。酷い理由だが、楽しい旅だった。カリフォルニアでは当時既に室内禁煙だったが、メキシコは違う。 砂が舞う乾いた道ばたの露天で乾ききったキャメルの両切りを買って、ハードロックカフェでライムを入れたコロナビールを2人で飲んだ。いや、もしかしたらギムレットだったかもしれない。「ギムレットには少し早すぎるね」とか言ったかもしれない。なんせ前世紀のことだから、曖昧だけど。
 彼は日本人だが、当時既にカリフォルニアで仕事をしていた。日本に来たときは、当時独身だった僕の家に泊まって、昼は僕の研究室にPCを持ち込み数学とプログラミングの勉強をしていた。彼もまた当時は独身だったので、僕も何度か泊まりに行った。今の妻とも一度行って、サンタモニカでの結婚式にも来てくれた。というか、彼がいたからサンタモニカが式場だった。
 お互い結婚し徐々に疎遠になっていったが、最近このfecebookで彼を見つけた。久々に渡米しようと思って、探してみたのだ。「来年行くよ」「待ってるよ」なんて言い合っていたら、逝去してしまった。
 ごめん、ちょっと遅すぎたね。でもオンラインとは言え再会できて良かった。これを教訓に、来年は世界中の友達を訪ねて回ることにするよ。There's a long goodbye, and it happens everyday…

 Star Trek: The Next GenerationのThe Inner Lightを久しぶりに見返した。「今を大事にしろ。この瞬間をな、一瞬一瞬を味わい尽くすように生きるんだ。…時は二度と戻らない」。