来園者数は横ばいなのに売上は過去最高?東京ディズニーリゾート最新決算が明かす5つの驚き

OLC決算資料を読み込ませたnotebookLMの出力。なんかそれっぽい😆けど投資は自己責任で。


 東京ディズニーリゾートと聞けば、多くの人が思い浮かべるのは、いつも活気に満ち溢れたパークの光景でしょう。アトラクションの長い待機列や、ショーを待つ大勢のゲスト。その「常に混雑している」というイメージは、もはやお馴染みのものかもしれません。

 しかし、その運営会社である株式会社オリエンタルランドが発表した最新の決算報告書(2026年3月期 第2四半期)は、その表面的なイメージの裏側で進行している、より複雑で興味深い戦略を浮き彫りにします。数字は、単なる混雑度以上の物語を語っているのです。

 本記事では、この最新の財務データから読み取れる、最も驚くべき5つの要点を抽出し、リゾートの現在の戦略と未来の方向性を分かりやすく解説します。これらは個別の事象ではなく、来園者数の伸び悩みを「ゲスト一人当たりの価値最大化」という明確な戦略で乗り越えようとする、同社の巧みな経営手腕を示す相互に関連したピースなのです。

1. 来園者数はほぼ横ばい、でも売上は過去最高という逆説

 決算データが示す最も意外な事実の一つは、来園者数と売上高の間に見られる「逆相関」です。2026年3月期上半期(2025年4月1日~9月30日)のテーマパーク入園者数は1,224.8万人で、前年同期比でわずか0.4%の増加と、ほぼ横ばいでした。しかし、同期間のテーマパーク事業の売上高は2,517億円に達し、前年同期比で5.4%もの成長を遂げています。

 なぜ、人数は増えていないのに、売上は過去最高を記録したのでしょうか。その背景には、以下の要因が複合的に絡み合っています。

  • プラス要因: 新エリア「ファンタジースプリングス」の好調が、来園者の体験価値と消費を押し上げました。
  • プラス要因: 期間中に開催されたスペシャルイベントが成功し、集客と関連商品の売上に貢献しました。
  • マイナス要因(相殺): 前年同期には「スペース・マウンテン」のクローズ前需要という特殊要因があり、その反動で需要が一部減少しました。

 これは、特殊イベント(スペース・マウンテン)終了に伴う予測可能な需要減を、大規模な新規投資(ファンタジースプリングス)と継続的なスペシャルイベントの訴求力によって効果的に相殺した、見事な戦略的トレードオフを示しています。

2. 儲けの主役は「客単価」。一人当たり18,196円という新記録

 売上成長の最大の牽引役は、来園者数ではなく「ゲスト1人当たり売上高」、つまり客単価です。この上半期、客単価は前年同期比5.2%増の18,196円となり、過去最高記録を更新しました。これは、ゲスト一人ひとりがパーク内でより多くのお金を使っていることを意味します。その内訳と理由は以下の通りです。

  • アトラクション・ショー収入: 有料で待ち時間を短縮できる「ディズニー・プレミアアクセス」の販売が好調だったことに加え、価格変動制チケットの中で高価格帯のチケットを購入するゲストの比率が増加しました。
  • 商品販売収入: 開業期に比べて「ファンタジースプリングス」関連商品の売上は減少したものの、それを補って余りあるほど「ダッフィー&フレンズ20周年」関連グッズの販売が好調で、結果として増収となりました。
  • 飲食販売収入: 「ファンタジースプリングス」内のレストランが通期で稼働したことや、前年は休止していた飲食施設が再開したことで増加しました。

3. 売上は増えたのに、テーマパークの利益はほぼ横ばい?コスト増の現実

 売上高が5.4%(約129億円)も増加した一方で、テーマパーク事業の営業利益は497億円と、前年同期から2億500万円(0.4%)の微減となり、ほぼ横ばいでした。これは、売上の伸びを吸収してしまうほどの運営コストの上昇があったことを示しています。特に、「ファンタジースプリングス」のような高付加価値体験の提供には、相応のコストが伴うことが窺えます。主なコスト増加要因は以下の通りです。

  • 人件費の増: 44億円の増加。
  • 諸経費の増: システム関連費用(17億円)、メンテナンス費用(15億円)、租税公課(9億円)を中心に54億円増加。
  • 減価償却費の増: 新規資産の取得などに伴い17億円増加。

 このデータは、たとえ力強い収益を上げていても、人件費や維持管理費といったコストの増加を管理することが、いかに大きな経営課題であるかを物語っています。

4. ホテル事業が絶好調。平均客室単価66,806円の新時代

 テーマパーク事業がコスト増に直面する一方、ホテル事業は目覚ましい成長を遂げました。売上高は前年同期比11.6%増の561億円、営業利益は実に41.4%増の175億円となり、いずれも過去最高を記録しました。

 この絶好調の背景には、2つの明確な要因があります。

  1. 新ホテル「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」が上半期を通してフル稼働したこと。
  2. ディズニーホテルの平均客室単価が前年から8.7%上昇し、66,806円という高水準に達したこと。

 特筆すべきは、価格が上昇しているにもかかわらず、客室稼働率が92.3%という非常に高い水準を維持している点です。これは、高価格帯でもなお強い宿泊需要があることを示しています。ホテル事業のこの力強い業績は、テーマパーク事業のコスト圧力や来園者数の伸び悩みに対する重要な高収益の緩衝材となっており、OLCの全体的な収益性への貢献度の高さを裏付けています。

5. 閑散期対策としての夏期需要創出戦略

 決算資料は、同社が「夏の閑散期」というテーマパーク業界の課題に対し、積極的な戦略を打ったことも明らかにしています。様々な施策を通じて夏の需要を喚起し、入園者数の底上げに成功しました。具体的な取り組みは以下の通りです。

  • パーク内体験: アトラクションの夏限定スペシャルバージョンや新規夜間ショーが高い満足度を獲得。さらに、冷風機(ミストファン)やグッズのボトルに給水できるウォーターサーバーを設置し、ゲストの快適性を向上させました。
  • 魅力の訴求: 人気アーティストとのコラボレーションをSNSなどで効果的に展開し、大きな話題を創出しました。
  • 来園しやすい仕組みづくり: 夕方以降の体験の魅力をアピールすると同時に、夜間パスポートの選択肢を増やすことで、新たな来園機会を創出しました。

 これらの取り組みは、季節変動を乗り越え、ゲスト体験の質を向上させることで来園を促すという、同社の明確な戦略的意図を示しています。

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 今回の決算報告から浮かび上がるのは、オリエンタルランドが単なる来園者数(量)の追求から、ゲスト一人ひとりの体験価値と単価(質)を最大化する戦略へと、明確に舵を切っている姿です。入園者数をほぼ維持しながら客単価とホテル収益を大幅に伸ばし、過去最高の売上を達成した事実は、この戦略が成功していることを証明しています。

 この高付加価値戦略をさらに推し進める中で、ゲストは今後どのような新しい体験を期待できるのでしょうか。そして、それは未来の東京ディズニーリゾートの魔法をどのように変えていくのでしょうか。